2019年12月6日
遊星ギヤボックスとスパーギヤボックスの特徴を比較してみました。
遊星ギヤボックス | スパーギヤボックス | |
---|---|---|
重量 | ▲ 重い | ○ 軽い |
サイズ(低減速比) | ▲ 小型化が難しい | ○ 小型 |
サイズ(高減速比) | ○ 1段で高減速比 | ▲ 歯数や段数が増える |
伝達効率 | ▲ 下がりやすい | ○ 理論的に高い |
耐久性 | ○ | ▲ |
耐荷重 | ○ | ▲ |
耐衝撃 | ○ | × |
ギヤ精度 | ▲ 高い精度が必要 | ○ 一般的な精度 |
減速比設計 | ▲ 計算が複雑 | ○ 計算が簡単 |
高減速比 | ○ | × |
出力軸位置の制約 | ▲ 入出力軸が同軸上 | ○ 自由に設計可 |
メンテナンス性 | ▲ 構造が複雑 | ○ 構造が単純 |
ギヤボックスの固定 | ▲ | ○ |
バックトルク | ▲ | ○ |
価格 | ▲ 高価 | ○ 安価 |
遊星ギヤボックスは、太陽歯車(sun gear)と遊星歯車(planetary gear)、遊星キャリア(planetary carrier)、内歯車(ring gear)の4つの要素を組み合わせた構造をしています。
回転は、太陽歯車、遊星キャリア、内歯車の3つの要素の内1つを固定し、1つを駆動回転させると、残りが従動回転し力を伝達します。
写真の遊星ギヤボックスでは、内歯車が固定、入力として太陽歯車を回転すると遊星歯車が回転し、連動して遊星キャリアが回転し出力となります。
ギヤが多く複雑な構造になりますが、複数の遊星歯車で負荷分散して力を伝達するため、耐久性が高く、大きなトルクを伝達できる特徴があります。
スパーギヤボックスは、スパーギヤ(spur gear: 平歯車)を組み合わせて減速するギヤボックスです。
回転は、スパーギヤの歯のかみ合いで伝達し、歯数の比で減速比が決まります。
構造が簡単なため安価で効率が良い使いやすいギヤボックスです。ひとつ歯が全ての力を伝達するため、歯が欠けたり固定軸が滑ったり壊れやすい欠点もあります。
遊星ギヤボックスを選択する大きな点は、耐久性・衝撃荷重の良さです。価格、重量、サイズと不利な面も多いですが、負荷が変動しやすいトルク伝達部(駆動輪やアーム部など)に遊星ギヤボックスを選択すると、壊れにくく安定した動作が期待できます。
スパーギヤボックスは、安価で伝達効率も良く、負荷が安定した部分や、過負荷や衝撃を防ぐ機構がある箇所で使いやすい万能選手です。